洗顔後は、すぐに化粧水をつけるという女性が大半かと思いますが、今回はこの時間を利用してお家でできる、肌機能のトレーニングと肌診断を紹介します。
サッポーが提唱し、スキンケアモニター参加者にも実施していただいている「30分ノーケアトレーニング」です。
やり方は簡単!朝でも夜でもよいので、石けんで洗顔した後、化粧水も何もつけずに30分間過ごし、乾いていく様子や肌の状態を観察します。
これだけです。
素肌で置くことにより、肌が持つ機能をフル稼働させるのが目的です。ところが、このトレーニングをしてはいけない肌があります。効用より受けるダメージの方が大きくなるからです。
そこで、詳しい解説と注意喚起が必要と思った次第です。すでにしている方も、これからやってみようかな……という方も参考にして下さい。
30分ノーケアトレーニングの目的とその背景
女性の肌は、いつも化粧品やメイク用品で保護されています。また、365日エアコンの効いた快適な空間で過ごす肌も多いでしょう。
肌にとっては幸せなことですが、常にこの状態では、汗腺や皮脂腺の機能がうまく働かなくなります。この機能を正常に働かせ、維持するために継続的に行って欲しいのが「30分ノーケアトレーニング」です。
石けん洗顔後は、酸化した皮脂やメイク汚れなどが洗い流され、素肌になります。清潔な状態ですが、別の見方をすると「無防備」でもあります。肌を守っていた皮脂や油脂が、取り除かれてしまうからです。
このような状況におかれると、肌は必死で恒常性を保とうとします。機能を働かせ、本来あるべき姿に戻そうとするのです。
どのようなことが起こるかというと……
肌には汗と皮脂の分泌を司る、汗腺と皮脂腺があります。洗顔時の肌は湯水で温まっているため、これらは活発な状態です。
ところが、洗顔後何もつけないと肌の水分はどんどん蒸発していき、その際に発生する気化熱で、肌の温度が下がります。すると汗腺と皮脂腺の働きが抑制されるのです。
さらに肌が乾けば、汗腺と皮脂腺は肌を守るために、汗や皮脂を分泌しようとします。
この促進と抑制の繰り返しを、肌への良い刺激として利用するのが、このトレーニングなのです。
筋肉を鍛えて、大きく強くするようなトレーニングではなく、いわば健康維持のウォーキングのようなものです。
歩き、腕を振る運動を繰り返し、心臓に適度な負荷を与え、血液の循環を良くします。身体が鈍らないように訓練をしているのと同じです。
トレーニング中に肌診断
30分の間に肌診断ができます。
かさつきやつっぱり感がある、またべたつくところはありますか?それらは、肌の育ちが低い部位です。
トレーニングを続けていく中で、これらの変化と推移をチェックしていきましょう。これらが治まる傾向にあれば、肌は育ちつつあると見ていいのです。
反対に変化がない、またはひどくなっていく場合は、スキンケアを見直す必要があります。
素肌を観察することで、状態がより的確に把握できます。経過を追うことで、肌が改善傾向にあるかどうかが判断できます。さらに、スキンケアにも役立てることができます。
ノーケアトレーニングは良いことずくめ!と言いたいところですが、冒頭のように、トレーニングすべきではない肌が無理して実施していたり、本人は無理だと思わず続けているケースがあります。
30分ノーケアトレーニングの弊害について、解説していきます。
30分ノーケアトレーニングの弊害と、してはいけない肌
状態や環境によっては、トレーニングを通り越して、乾燥ダメージで肌を傷めてしまうことがあります。
例えば、
- 石けんにピリピリ刺激を感じる
- 石けん洗顔後、肌のつっぱり感が強い
- 湿疹や赤みや痒みを伴う炎症がある
- ベタベタ・テカテカしている
- 乾燥・かさつきを感じる
- 室内が極度に乾燥している
- ……等々
少しでも敏感さがある肌、石けんを使用できない肌は30分ノーケアトレーニングはすべきではありません。
また途中で上の傾向が強くなってきたら、30分を待たずに中止します。
ある程度育った状態の肌なら、多少のつっぱり感はあっても、乾燥で肌を傷めるようなダメージにはなりません。でもまだ育っていない肌には、トレーニングではなく過酷な「しごき」になるのです。
このような肌が乾燥して硬くなると、化粧水で保湿しても簡単に元の状態には戻りません。それだけではなく、乾くと肌が縮み、隙間が多くなり、バリア能が低下します。すると痒みや湿疹、炎症などの過敏な反応が起こりやすくなるのです。
30分ノーケアトレーニングは諦めて、洗顔後はすぐにケアを始めましょう。
上にウォーキングの例を挙げましたが、風邪を引いたり、体調の優れない時に、無理して行う人はいないと思います。それと同じで、肌の調子が良く、環境も良いときに行うのがポイントです。
いかがでしたか?
30分ノーケアトレーニングは、肌本来の機能が鈍ってしまわないように、良い刺激を与えるのが目的であり、長期的に行うトレーニングです。
毎日の習慣にされることを勧めますが、必ず毎日しなければ、マイナス影響が出る……と言ったものではありません。ずーっとサボることさえなければいいのです。
- 30分ノーケアトレーニングは汗腺と皮脂腺に良い刺激を与え、機能を維持する
- 30分ノーケアトレーニングは敏感、乾燥、べたつきが気になる肌にはNG
「サッポー美肌塾」第243号
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