しわやたるみに効く?成分のコラーゲンと肌のコラーゲン線維は別物

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TVやネットである成分が話題になると、一度はその成分の入った化粧品を使ってみたくなります。しかし、しばらくすると話題に上ることもなくなります。

そうこうしている内に、もっと良さそうな新製品(成分)が登場します。

一世を風靡(ふうび)する成分があれば、埋没していくものもあります。また一方で、忘れた頃に再浮上するものもあります。

新製品や成分が話題になる度にそわそわするのは、サッポーのカウンセラー達だけでしょうか?(^_^;)必ずと言っていいほど、相談や質問が届くからです。

今回はそんな話題になった成分の中から「コラーゲン」について講義を進めたいと思います。

コラーゲンは保湿成分の一つでしかない

コラーゲンは歴史あるすばらしい保湿成分の一つです。未だに、よく質問を受けます。ところが、保湿成分としての相談や質問より、しわやたるみの改善、エイジングケアを期待しての相談が多いのです。どうしてでしょう?

それは成分としてのコラーゲンと肌で機能するコラーゲン繊維を同じものとして扱う業者が多いからだと想像します。まずはこの二つをしっかり理解しましょう。

弾力線維層の中心的役割を担うコラーゲン線維とは

コラーゲンというタンパク質は身体の至る所で利用されています。実に身体の全タンパク質量の約1/3を占めています。他のタンパク質と違って、細胞の外に存在しているのが特徴です。

三本の線維がらせん状により合わさった構造を持ち、骨や血管、目では水晶体に角膜……等々、それぞれにおいて重要な構成要素となっています。そして皮膚では表皮を支える真皮層において弾力線維層を作る中心的な存在です。

この弾力線維層の働きが肌のハリや弾力を保つ秘密です。それだけではなく、毛細血管と細胞とを繋ぐ酸素や栄養素の補給通路、そして貯蔵庫の役割を果たしています。まさに肌を維持している生命線です。

しかし、忘れてはならないのが、

  • コラーゲン繊維は、真皮層にまばらに存在する繊維芽細胞によって作られた“構造物”である

という点です。

これは表皮細胞(角化細胞)が角質になるのに似ています。しかし大きく異なる点は、寿命というか耐久年数です。

表皮の場合、28日程で全ての細胞が新陳代謝(ターンオーバー)しています。角質を傷めたり、早く剥がれると、このサイクルが数日で行われることだってあります。

一方のコラーゲン繊維はというと、一度作られると2~3年、多くは4~5年に渡り、肌を支える役割を担います。表皮と違い、壊れてもすぐに新しいコラーゲン線維が作られるわけではありません。作りかえにも4~5年かかるのです。

壊れると復活に時間がかかるため、取扱注意!ってことですね。

表皮のように外部環境にさらされているわけではなく、そんなに傷まないのも事実です。しかし、4年も5年も良い状態で長持ちさせようとすれば、適切に管理できるかどうかが大きな差として現れます。

しわやたるみが目立つ人とそうでない人、ハリや弾力ある人とない人の差です。

コラーゲンを使用した化粧品や食品で、肌がきれいになる!?

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コラーゲン線維の役割を知れば、何となく、コラーゲンを使用した化粧品でしわが消え、ハリが出てくるような気がします。また食品として摂取すれば、新しいコラーゲン線維が増えるように思えます。

でも、本当にこんなことあり得るのでしょうか?

コラーゲンは保湿成分、塗ってもコラーゲン線維にはならない

コラーゲンで保湿すれば、角質層に良い影響を与え、ひいては真皮層の良い環境にもなるのは事実です。ですが、角質層のバリアーを超えて真皮層に侵入し、コラーゲン線維になることはありません。

もしそんなことがあれば、免疫細胞が暴れ出し、肌はたちまち炎症を起こすでしょう。肌内部の生きた細胞層にとっては、コラーゲンであっても他の成分と同じ異物ですから、危機でしかありません。

何よりも真皮層の線維芽細胞が作り出すコラーゲン線維は、成分としてのコラーゲンとは全く異質なものです。名前が似ているだけです。紛らわしいですね。

コラーゲンをいくら食べても、コラーゲン線維にはならない

コラーゲンを摂取すると、他のタンパク質同様に消化され、複数のアミノ酸に分解されます。真皮層の線維芽細胞は、これらアミノ酸から必要なものを利用して弾力線維を作りだしています。

コラーゲン線維の材料は、コラーゲンというタンパク質だけではありません。大切なのは、多種類の動植物タンパクを摂取する食生活です。そうすれば、様々なアミノ酸がバランス良く得られます。

コラーゲンを食べても意味がない、とまでは言いませんが、そのうちコラーゲン線維の材料として使われるのは極々僅かです。

成分のコラーゲンと肌のコラーゲン繊維、混同していませんでしたか?このように思わせる広告が多いので無理はありません(^^;)

上で「真皮層は外部環境にさらされていないので、そんなに傷まない」と説明しました。でも、特に注意すべきダメージはあります。それは紫外線です。

紫外線は真皮層に侵入し、コラーゲン繊維を破壊する

日焼けのように赤くなる場合は自覚できるので、強い紫外線とのつきあいは避けたり防御する心理が働きます。

紫外線を浴びるイメージ画像

一方、「自覚のない紫外線による破壊」があります。朝や夕方の紫外線、窓ガラス越しの紫外線です。赤くもならないし、日焼けを意識することもありません。

しかし、紫外線は一瞬のうちに真皮層まで侵入し、コラーゲン線維の酸化破壊をじわじわと進行させていきます。

コラーゲン線維が破壊されても、その日その日の自覚症状は全くありません。「紫外線がしわやたるみの最大原因」と知っていても、弱い紫外線なら無視してしまいがち。

このことを頭に入れず、コラーゲンを一生懸命塗ったり食べていても、本末転倒と言わざるを得ません。紫外線対策をしっかりすることが、しわやたるみの最大の予防法なのです。ひいてはエイジングケアとなるのです。

いかがでしたか?
二つのコラーゲンの違い、分かりましたか?そうとなれば成分にこだわるより、紫外線対策に力を入れていきましょう!

今日のサッポー美肌塾まとめ

  • 肌のコラーゲンと成分のコラーゲンは違う、化粧品や食品を過信しない
  • しわやたるみ、ハリなどのエイジングケアには紫外線対策が最も大事
黒板に注目!

編集後記

私達女性は、肌がプルプルに~とか、しわがピンと!と言われると弱いですね(^^;) そこに、いかにも良さげな成分を添えられると、とても魅力的に感じます。

でも知識があれば、冷静な目で広告を見てしまいます。それはそれで、ちょっと寂しい気持ちにもなりますが……。


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