いろいろな情報に触れていると、「あっ、そうなんだ」と、わけもなく一人納得してしまい、その情報通りに自分をはめ込もうとしている場合があります。

そんな話の一つに、「肌のゴールデンタイムは２２時から深夜２時の睡眠している時」、この時間帯に睡眠していると、成長ホルモンが活発に分泌され、肌の代謝活動が活発に維持される、つまり肌が修復され再生する時間帯になっている。美肌を目指すなら、この時間帯に眠ってなきゃダメよ！というものです。

これは現代人にはちょっと難しい生活スタイルです。でも、このような神話が営々と語り継がれてきました。「えっ？それって神話なの！」「就寝タイムが２４時を過ぎていてもいいの！？」という落胆の混じった喜びの声が聞こえてくるようです。

正しくは次のような神話になっていたら良かったのです。

神話が成立した時は今より就寝の時間がずいぶん早かったのでしょうね。だから２２時～２時がゴールデンタイムと決めつけてもさほど弊害はなかったのでしょう。

でも、終夜営業のスーパーやコンビニエンスストアが当たり前になった現在、「２２時に寝なさい。さもないと美肌になれないよ」なんていわれたら、美肌を諦めないといけない人がたくさんいるでしょう。

タイトルのような相談を今でも時々戴くのは、ちょっぴり間違って伝わる神話が、今もしっかり健在だということでしょう。「そうだったのか！」という方、神話を少しだけ修正しておきましょう。就寝時間はいつになってもいいので、「眠りについた最初の３時間の質を上げる」ことだと理解しましょう。

でも、眠りが浅い、よく目が覚める、といった悩みがあれば、これは良くありません。成長ホルモンの分泌が活発化する条件はぐっすりと睡眠していることです。こちらの解決の方が大切です。……が、サッポー美肌塾ではここまでは踏み込みません。自分で解決してくださいね。

就寝がいつも遅い時間になっていた方も、こんなことなら、まず一安心です。でも良い睡眠にする努力・工夫は必要だということです。「肌を気にせず、夜更かしできる」などと羽目を外した生活はダメですよ。不規則な生活は体調を崩す原因ですし、睡眠不足はホルモンのバランスまで不調にします。回りまわって肌に悪影響を及ぼすのは目に見えてますからね。

ただ、このような神話は人の数だけ増えそうな気もします。例えば、上にありました不規則な生活…という視点で、肌に結びつけて心配するケースもあります。

「夜勤があるので、生活はどうしても不規則に。これって肌に良くないのでしょう？」

このように心配を始めると、一つが解決しても、また次の困難が現れたように見えます。こんなことで仕事を変えるなんてできませんからね。疲れがでたりすると、きっと肌に影響しているように思えてきます。そのうちに、肌に良くないと考えることそのものがストレスになってきます。さらに、ストレスがたまると……。

このように、不幸の拡大再生産をしながら、自らを追い込んでいくようなケースが多いのです。もちろん、本人は肌によかれと思って真剣に心配しているのですから、心配はなくなることがありません。

心身の健康は肌に大きな影響を与えていることは間違いありません。また、心身の健康に影響するものとなると、食生活から、仕事、人間関係、生活スタイル……ありとあらゆることが関係してきます。つまり、心配の種は探せば無数にあるわけです。

こんな無数にある心配と肌の未来を結びつけて考えるのは、ストレスを増やすだけの結果に陥りがちです。なぜなら、どれ一つとっても明確な正解が見通せるようなテーマではないからです。つまり、事実の一側面（心配）を知っただけで、未来の結論を得るには無理があるということです。

それならどうしたら？

サッポーは、それぞれを分けて考えるようにしています。「肌の健康と美しさ」と、「心身の健康」はそれぞれ別のテーマでいいのです。それぞれに努力していけばいいと考えるのです。

「あなたは健康ですか？」

『まずまず健康だと思っています』

ということなら、まずまず健康な事実があるのです。それは事実の一側面ではなく、結果としての事実です。夜勤があっても、生活が不規則でも、肌に結びつけて心配する必要などないのです。

もし、明らかに不健康な状態であれば、肌とは関係なく、不健康な状態を解消する取り組みを始めましょう。