まず、過敏肌からの脱出を

赤みや炎症(湿疹等)を支配しているマスト細胞

マスト細胞を知る

マスト細胞を知らなくても、正しいスキンケアはできるはずですが、この細胞の働きを知っていると知らないとでは過敏肌からの脱出スピードが随分違います。マスト細胞の働きを知るとケアの失敗が少なくなるからです。

マスト細胞は様々な白血球と同じ免疫細胞の一つです。白血球は血管やリンパ管の中を循環しながらいつでも免疫反応を起こし身体を守る働きをしますが、マスト細胞は、この免疫反応(炎症反応)を起こす信号を出す役割です。表皮直下の毛細血管周りやリンパ管の周りにいて、見張り番をしています。危険や異変を察知したら連絡をする役目なのです。

マスト細胞が察知する危険や異変とは

  • バリア能の低下した未熟な肌(角質層)から侵入した異物を察知する
    (全ての化粧品成分、汚れ、ウイルス、雑菌、汗…等々を無害化させる)

危険や異変を察知したマスト細胞が信号を出すと毛細血管(リンパ管)が拡張します。この状態で肌は赤みを帯びて見えます(臨戦体制)。第二段階に進むと、拡張した毛細血管から白血球を含む血漿成分を肌組織内に漏出させます(戦いが始まる)。

侵入物を無害化する作業が炎症であり、炎症あとです。身体を守るための正義の戦い、免疫反応です。

よく育った細胞が作る肌には隙間がないので、ウイルスも化粧品成分も浸透・侵入できませんが、強い乾燥ダメージを受けたりすると、よく育った健康な肌でも隙間ができます。育ちの悪い細胞が作る肌は乾燥しなくても隙間が多く、異物の侵入が容易いので、炎症反応を起こしやすいのです。

アレルギー性皮膚炎やアトピー性皮膚炎なども、上のような反応の一つといえます。

マスト細胞を働かせすぎると、直ぐ大騒ぎするようになる

前段の説明のような、人の命を守る働きをしているのがマスト細胞を始めとする免疫細胞の働くシステムです。

バリア層を超えて異物が侵入し炎症を起こすような事件が多いと、その肌部位のマスト細胞は余り恐くない侵入物に対しても見境なく大騒ぎするようになります。いつも強い信号を出すようになるのです。これが過敏肌の進行した状態、赤信号の肌です。

つまり、過敏さが目立つようになった肌の守りは、二倍も三倍も注意してあげないと直ぐに炎症反応を起こしてしまうようになっているのです。

この問題は“肌が育つケア”で肌が育ち度を上げてしまえば解決するのですが、肌が育つケアそのものが満足にできない状態になっているのです。このように超過敏な肌状態なっていたら、一歩下がって、過敏な肌からの脱出を優先したケアにしなければ成功しないといいうのは、このような事情があるからです。

臆病なマスト細胞~盲点となっている意外な注意点

えっ!40℃のお風呂が過敏さ改善のネックに?!

例えば40℃の湯温での入浴は本来なら気持ちよいはずで、入浴している本人も気持ちよさを感じています。しかし40℃に温められた血液が顔の毛細血管を何度も駆けめぐり始めると、臆病になってしまったマスト細胞のある部位では恐怖におののく状態になっています。

でも入浴している本人はそんなことは露とも思いません。本来のマスト細胞なら、直ぐには問題視しないのですが、過敏に反応するのが習慣になったマスト細胞達は緊急事態の準備をしてしまうというわけです。赤みが現れ、時には湿疹等の炎症発生となるわけです。

火傷するような温度ではありませんが、体温の平熱は36℃台、風邪をひき高熱を出してウイルスをやっつけようとしている時でも39℃前後がせいぜいです。40℃の入浴で誤報を出しても不思議ではないわけです。

もしお風呂から上がれば赤みが退く程度に済んでいたとしても、このような毎日が続いている限り、過敏な肌からは一歩も抜け出すことができなくなります。このような時は毎日の入浴を38℃台の湯温にして、マスト細胞の反応が平常に戻るのを見守ることになります。

お風呂を例に挙げましたが、他の刺激も同様に考える必要があります。髪の毛が触れるのを物理的刺激に入れるのはどうかと思いますが、過敏になったマスト細胞の中には、それだけで赤みや炎症を起こしてしまうケースがあります。

「この程度の太陽との付き合いなら、いつもなら反応しないはずなのに、今日の紫外線はなぜか赤みを作ってしまった?!」……これなどもマスト細胞が過剰に過敏になっている現れです。

このように過敏な肌部位がある時は、徹底してマスト細胞を働かさないようにすることが、過敏肌脱出の決め手になっている場合があります。

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