「顔のニキビはそんなに無いのですが、首のニキビに悩まされています。」
首のニキビ、時々相談を受けるテーマです。
今回は“Pony”さんからの相談を元に講義を進めていきます。
“Pony”さん、ありがとうございます。
首にできるニキビは大人のニキビの一種
顔のニキビは困りますが、首だって気になります。早くサヨナラしないといけません。
首のニキビは大人によく見られる現象で、でき始めると、同じような場所に次々と発生する……この様なパターンが多く見られます。しかも首の場合、多くが赤みを伴う炎症性のニキビです。
思春期にできるニキビは、場所を選ばない奔放さがある一方、大人のニキビはだいたい決まった部位です。しかも、一度でき始めるとなかなか治らない、治らないばかりかニキビのできる部位が拡がっていく……。また、首にできるため、顔のニキビとは全く別物のように感じ、どう対処したらよいか分からない方が多いようです。
でも、首のニキビは顔のニキビと何も変わりありません。基本対処の考え方は同じで良いのです。
首にできたニキビの原因と対策を探る
ニキビ対策の原点に立ち帰り、二つの視点から原因と対策に見当をつけていきます。
1.なぜ、皮脂詰まりするようになったか?
きっかけとなるダメージは様々ですが、皮脂が詰まる原因は、肌の水分量が低下し、肌が硬くなることです。特に毛穴の出口付近が硬くなりやすいので、分泌された皮脂が上手く排出できず、皮脂詰まり(ニキビ)が起こるのです。
従って、対策は肌を本来の状態に戻すということになります。要は瑞々しく、柔らかな肌にすればいいわけです。適切なスキンケアを行い、肌にとって良い環境を作っていくことで改善していきます。
具体的な方法については、今回は割愛します。
2.なぜ、赤みなどの炎症を伴うようになったか?
皮脂詰まり→炎症ニキビ→皮脂詰まり→炎症ニキビを繰り返すと、肌のバリアーが弱くなって、徐々に肌が敏感さを備えるようになります。結果として炎症性のニキビがずっと続くようになっていきます。
このような場合、 皮脂詰まり対策以前に、敏感肌からの脱出を優先しなければいけません。するとスムーズな改善につながっていきます。
炎症ニキビに至るのは、1→2の流れですが、炎症ニキビが続くようになってからの対策は必ず、2→1の順序で行うことが必須となります。
今回の講義は、2の深刻な首の炎症ニキビについて解説します。
赤みや炎症の原因はマスト細胞にあり!
「首を触らないようにとか、髪の毛が肌につかないようになど、いろいろと注意しているのですが、まったく改善されず、それどころか日々ひどくなる一方です。」
“Pony”さんの場合、首にできる炎症性ニキビが常態化していた様子です。つまり、敏感肌からの脱出を優先する必要があります。少なくとも数ヶ月をかけた長期的に取り組まなければいけません。
“Pony”さんの、首への接触を極力避けて、肌の反応を無くそうとする……という方向性は良かったのですが、もっと根本的な対策が求められているのです。
赤みや炎症の原因、マスト細胞を脅かす3つの刺激
赤みや炎症は免疫反応です。
この免疫反応が、ちょっとしたダメージで起こりやすくなっていることが、症状が長引いている原因です。
キーを握っているのは、表皮直下に拡がるマスト細胞という免疫細胞です。
マスト細胞は毛細血管の周りで見張り番をしており、危険な情報をキャッチすると赤みや炎症を起こさせて有害物を排泄しようとするのが本来の役割です。ところが、この細胞が神経質になっていると、何でもない刺激に対して過剰に反応するようになってしまいます。
そもそも、マスト細胞を過剰反応させるのはいったい何でしょうか?それは次の3つです。
- 肌への侵入物(例:紫外線、化粧品成分、雑菌・汚れ・汗…等々)
- 冷・熱の刺激(例:38℃で入浴する。39℃以上は危険)
- 物理的な刺激(例:マッサージ、メイクブラシ、パフ、髪の毛先など)
過剰反応を起こすようになったマスト細胞を宥めるには、これら三つの刺激を避けてあげることが、基本対策となります。
“Pony”さんは3には気を遣っていましたが、もしかしたら1・2の対策が手薄になっていたのかもしれませんね。
それぞれの具体的な対策は「敏感肌を長引かせているのは何? マスト細胞を活発化させる3つの刺激」に詳しく解説されています。顔の肌についての講義ですが、首に当てはめてお読み下さい。お悩みの方は必読ですよ!
マスト細胞が順調に安心度を高めていくには、上記の刺激のいずれにも注意しましょう。一つだけ注意しても失敗します。例えば、紫外線は良くないだろうと首にスカーフを巻いていたら、それが摩擦による物理的な思わぬ刺激になっていた……といったことです。
そして一度の失敗はマスト細胞のさらなる活発化に繋がり、いつまで経っても改善が進みません。
首を取り巻く環境、いろんな面で配慮することが大切なんですね。
炎症ニキビができるようになった首にも、スキンケアは必要
さて、このようにやっかいな状態に陥った首の肌ですが、スキンケアはすべきなのでしょうか?
結論からいえば、すべきです。
但し、マスト細胞が許す範囲、という制約付きです。
首の肌も顔の肌も見える部位であるだけに難しいのです。他の部位なら、包帯を巻いたり、湿潤療法に利用されるような絆創膏を貼って保護することができます。といってスキンケア製品で保護しようとすると、バリアー機能が弱くなっているため、肌に侵入して炎症を起こします。
それではどうすれば良いのでしょうか?
それは化粧落としから、保湿・保護のケア、UVケアまで、あなたの肌に反応しないケア製品で守ってあげることです。サッポーのおすすめは「敏感肌脱出プログラム」で取り扱っている製品です。
また、とりあえずの危機を乗り切る方法として、医療品を併用する方法があります。
炎症ニキビや湿疹、痒み対策に利用される様々な抗炎症剤です。病院で処方されたり、ドラッグストアでも販売されているものです。これらの薬を塗ることによって、マスト細胞の炎症を起こさせる命令が阻止されます。
この方法を言い換えると、免疫システムが働かないようにして、取りあえず炎症反応を治めるということです。一時的な対処ですが、炎症が消えていくので、心がホッとします。しかし、薬をやめると、また同じことが繰り返されます。
薬を利用する際には、炎症が治まっても、前述の3つの刺激を避けるように配慮し続けることが重要です。マスト細胞が安心して落ち着くまでは、この努力をやめてはいけないのです。
いかがでしたか?
首のニキビであっても、とにかく肌が反応しないことを優先して、できる範囲の肌が育つ環境作りを行うのがポイントです。これはサッポーが普段言っている、敏感になった顔の肌対策と全く同じです。
つまり、
- 炎症反応による悪影響を少なくする
- 肌が反応しない範囲でスキンケアを行う
この両輪が維持されると、過剰な反応をするようになった肌は落ち着いて、改善が進みます。
- 首のニキビは、炎症対策を最優先に
- マスト細胞の理解を深める
「サッポー美肌塾」第258号
更新
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