金属はアレルゲンではない!金属アレルギーの発生と対策

金属のアクセサリーによるアレルギーのイメージ

ピアスやネックレス、ブレスレットや指輪はオシャレを楽しむツールです。でもこのようなアクセサリーを自由に楽しめないというのは寂しいものです。

アクセサリーにかぶれた話はよく聞きますが、腕時計やメガネのフレームにかぶれる人もいます。またベルトの金具が触れるお腹やビューラーがあたる瞼が被害に遭うこともあります。軽微なものから深刻なものまで様々ですね。

ニッケル、クロム、コバルトが金属アレルギーを起こしやすい三大アレルゲンとしてよく知られています。錆びたり、変色したりしない上、弾力性にも優れていたりするので、合金やメッキの材料になっていることも多く、装身具にもよく使用されるため、被害を体験する人が多いようです。

すると、これら金属三大アレルゲンに触れるとかぶれるの?という疑問が沸きますが、安心して下さい。触れるだけなら金属アレルギーの人でもかぶれたりしません。金属そのものがアレルゲンにはなりません。アレルゲンは必ずタンパク質だからです。

では、どうして金属アレルギーが起きるのでしょう。

金属アレルギーはなぜ起こる?対策は?

金属のアクセサリーによるアレルギーのイメージ

それは、汗によって溶け出した金属イオンが、皮膚のタンパク質(角質など)と結びついて、アレルゲンとなるタンパク質に変質するからです。そこで初めて、赤みや湿疹、痒みなどの症状として現れるのです。だから、これら金属をいたずらに怖れる必要はありません。このような経緯なので、パッチテストでは判らないことも多く、かといって気付かないと悲劇が拡大してしまうという厄介な所もあります。

長時間直接皮膚に触れているため、起こりやすいのですが、アクセサリーだけではなく、腕時計やベルト・下着の金具、メガネのフレーム等も同じです。ピアスの場合は、より直接的ですね。ごく薄い皮膚を隔てて肌内部と接触しているのですから……。いずれにしても、部位が限定されるので金属アレルギーだと判りやすいですね。

使用時間を短くするだけで発症しない場合がありますが、対策の基本は、何かの金属アレルギーであることが判れば使用を中止するか、他材料のアクセサリーに代えることが原則です。

また、アレルギーがあっても、バリアー層がしっかりした健康な肌だと発生しにくくなります。敏感になっている肌と同じで、アレルゲンを作る金属イオンが肌内部に侵入しやすくなっているからですね。

※参考:「私の肌は敏感肌……という思い込み

全身のどこに、いつ現れるか判らない型?の金属アレルギー

この湿疹は金属アレルギーかも?!

このタイプは判りにくいので、発見されにくいのが特徴です。多くは、歯の治療に使われる金属※によるものです。

口腔内に症状が現れる場合(扁平苔癬や接触性皮膚炎)は、比較的判りやすく発見されることも多いのですが、口以外に身体のどこかに表れた場合、金属アレルギーと判らないままに放置されてしまうことがよくあります。原因を作る場所と症状の現れる場所が必ずしも一致しないのです。

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)といって手の平や足の裏に小さな水疱ができ、赤みができる。皮むけや痒みを伴うこともあり、虫に刺されたのかと思ったり、水虫と間違えられたり、何かの肌荒れで済まされたりで、金属アレルギーだと気づいて貰えないことが多いのです。

その他に、身体のあちこちに赤い大きな紅斑が現れたり、虫刺されのような痒みを伴う赤いブツブツができたりすることもあります。かゆみ止めや、色々な薬を塗っても改善されません。

手の平や足裏になぜ症状が多いかというと、この金属イオンが身体を巡り、排出されるのが汗と一緒になるからです。手の平や足裏は、特に汗の多い部位であり、さらに強い力が加わる所だからでしょう。金属イオンと豊富な角質の結びつきでアレルゲンに変わりやすいのです。

いずれにしても、このような場合は、金属アレルギーに詳しい歯医者さんで、別の材料に詰め替えて貰うことが必要です。何年も気づかないばかりか、10年、20年と原因不明の皮膚症状に悩まされていることも珍しくありません。

※金属アレルギーの出やすい歯科金属:アマルガム、銀合金、ニッケル合金、金銀パラジウム合金、等

また金属は食品にも広く含まれており、金属三大アレルゲンといわれるニッケル、クロム、コバルトも例外ではありません。チョコレートを食べるとニキビが……という話も、実は皮脂増加が原因ではなく、原料のカカオ豆に多く含まれるニッケルの金属イオンが影響してアレルギー(炎症)を起こしていた……なんてこともあるかもしれません。

豆類に含まれるアレルゲンを避けようなんて案内が多くされていますが、ここまで範囲を広げると収拾がつかなくなります。穀類や他の動植物性食品にも広く含有されているのですから、何を食したあと肌の調子が悪くなるのか、ある程度目星をつけて医師に相談するのが賢い方法といえます。

金属アレルギーの目星をつける時に知っておきたいのは、花粉症などのアレルギーが即時に現れるのと違って、1日、2日経ってから現れる場合があることです。中には何年も経過してから現れ出すケースもあるようです。遅延型アレルギーとも呼ばれ、発見を難しくしているのです。

あなたに原因不明のアレルギー様の皮膚症状があれば、一度は金属アレルギーを疑ってみるのもよいかもしれません。

いかがでしたか?
判りやすい金属アレルギーなら対策は簡単ですね。

肌が育つことは、金属アレルギーを治す根本的な解決ではありません。しかし、アレルギー反応が起こりにくくなったり、起こったとしても被害が最小限に済むと、アレルギーのない肌と変わらない美肌・健康肌を目指すことができます。

今日のサッポー美肌塾まとめ

  • もしかして、原因不明の湿疹は金属アレルギーかも
  • よく育った肌は、金属アレルギーも起こりにくい
黒板に注目!

「サッポー美肌塾」第556号


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