前回は、紫外線を代表とするラジカルな酸化ダメージを解説しました。今回はソフトな酸化ダメージについてです。
サッポーが“酸化ダメージ”と呼び、三大ダメージの一つとしているのも、こちらのことです。
ソフトなんだから、そこまで気にしなくていいのでは?と考えがちですが、そうではありません。
前回でも案内したように、ラジカルといっても紫外線は防止策を取っている限り、避けられるダメージではないのですが、ソフトな酸化ダメージには見えない怖さがあります。
それは、ダメージに気が付かないことです。そして、その対処が美肌の分かれ道にもなっているのです。
何やら奥が深そうですね……どんなダメージか、見ていきましょう。
肌を左右する、酸化ダメージ
ラジカルな酸化ダメージの代表が紫外線であれば、ソフトな酸化ダメージの場合は皮脂や化粧品の油脂です。肌上のそれらが酸化(変質・破壊)することによりもたらされるダメージです。
ソフトであってもダメージには変わりありません。その特徴とは……
- ダメージの進行が遅い酸化
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活性酸素による酸化の進行は目にも止まらぬ早さですが、こちらの酸化はゆっくりと進行していきます。ゆっくりと進行していくものだから、ダメージを受けて、肌が傷んでいるとも感じません。
気が付かないくらいだから、大したダメージではない……と考えるのは、大きな誤りです。
- 酸化の連鎖が起こる
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皮脂中でも最も酸化しやすい成分、スクワレンがまず一番に酸化します。そして、時間の経過と共に皮脂膜全体が酸化していきます。過酸化脂質に変質していくのです。
肌を作る細胞膜がこれまた酸化しやすい不飽和脂肪酸でできているので、さらに酸化が伝染していきます。
過酸化脂質は隣の脂質の水素を引き抜くため、脂質が不安定になり、酸素と結びつき酸化していく……このような連鎖反応を起こしているのです。
- ダメージは進行し、さらに拡大する
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紫外線や乾燥は、避けると肌への影響も小さくなります。しかし、このダメージは、ほっておくと進行し続け、さらに大きくなります。
このような特徴を持つ酸化ダメージ、どういうものか、およそイメージできたでしょうか。
酸化によるダメージが肌に与える悪影響
肌の細胞自身を劣化・破壊していくわけですから、それは肌のターンオーバーに悪影響を与えます。そしてその状態が続けば、様々な肌トラブルが現れてきます。
肌荒れ、乾燥肌、ニキビなどもそうです。さらに悪しき状態が続くと、シミ、しわ、たるみと肌劣化の象徴とも言える現象となって現れてきます。
肌を構成している細胞そのものが劣化していくのですから、好ましくない肌、全ての背景になっているダメージといっても良いでしょう。
この酸化ダメージを完全に防止するなどということはできません。皮脂は肌そのものの構成要素であり、肌は酸素に取り巻かれています。そして皮脂や酸素無くして生きることは出来ないからです。
また酸化を恐れ、乳液やクリーム、UVケア製品等の油性化粧品を使わなければ、肌はあらゆるダメージにさらされ、本末転倒です。
酸化は、こうしている今も現在進行形でジワジワと進行しています。ここは、少しでもダメージを軽減する策を講じるしかないでしょう。
酸化ダメージを軽減する方法
出来る範囲で酸化ダメージを軽減することができれば、ターンオーバーが早まるような悪影響は防げます。
酸化しにくい油脂で構成された油性化粧品を選択する
まず鉱物油と比べ、動植物油は酸化しやすいということを知っておきましょう。中でも特に植物油は不飽和脂肪酸の割合が大きいので注意が必要です。
鉱物油は過去の粗悪品のイメージが残っていて、不等に悪者扱いされていましたが、精製技術が高度に発達した現在ではそんな心配はありません。当時のような粗悪な鉱物油は、スキンケア製品に使用されていないのです。
なので、そのような風説に振り回されないことの方が大切です。サッポーは、鉱物油をお勧めしているわけではありませんが、自然派といって、植物油だけで構成されたものを選択する方が疑問です。
安全性でいえば鉱物油の方が植物油より安心だからです。
とは言っても、例外もあります。植物油の中でも、ホホバ油は酸化が進行しにくい特徴を持っています。ロウ類に属する油で、ベタつきが少なく使用感の良いのです。このような油脂を上手に組合せ、配合された製品を選びましょう。
洗顔間隔のバランスが大きく崩れないようにする
皮脂や油脂は、時間の経過と共に酸化が進みます。従って、変質した肌上の油分を洗い流すことは、とても有効なダメージ軽減策となります。
といって、一日に何度も洗顔すればよいというものではありません。確かに酸化ダメージは少なくなりますが、洗い過ぎによる角質の剥がれを促進させてしまいます。
基本とすべきは朝・夜、2回の洗顔で、その間隔のバランスを大きく崩さないことです。12時間置きにきっちりバランスを取れとまではいいません。
しかし「朝7時の洗顔で、夜はいつも12時に洗顔する」といった間隔バランスでは、24時間を7時間と17時間に分けることになり、崩れたバランスと言えます。
いつもこのような生活習慣の方に、お勧めしたいのが帰宅後すぐや昼間に洗顔の機会を作る方法です。
先ほど、洗顔は一日2回と言ったのに、変な話ですね……でも、実はこれには秘密があります。それは帰宅後すぐや昼間の洗顔にサッポーのような洗浄力のないクレンジングを使用することです。
洗浄力がない(洗浄剤を配合していない)のですから、いわゆる洗浄剤を使用した洗顔回数には含まれません。こういった製品なら、一日に何度使用しても肌への弊害や負担はありません。
詳しくは、こちらの美肌塾を参考に
※機内の話ですが、昼間の洗顔に適用できます
以上が、主たる酸化ダメージの軽減策です。
紫外線は別格として、この微妙な酸化ダメージを避けることが日々の差をつけ、美肌をもたらしています。
その日だけでは何も感じることはありませんが、一週間、一ヶ月という時間の経過で見ると大きなダメージに繋がっていくのですね。
- 皮脂や油脂の酸化には、気が付かない怖さがある
- 酸化ダメージの軽減は、油脂の種類と洗顔にあり
編集後記
酸化は、じわじわとしたダメージなので無駄に怖がる必要はありません。まず、このダメージの存在を知ることが大事です。
少しの心がけで避けられるダメージなので、避けない手はないですね。周りと美肌の差をつけちゃいましょう!
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