鼻の両脇から、両口角の方向に現れやすいしわをほうれい線といい、誰にでも現れる表情じわの一つです。
加齢により次第に目立ってくるしわで、主に表情筋の衰えや皮下脂肪の減少が影響しています。根本的な原因としては、真皮層で表皮を支える弾力線維層(コラーゲン線維やエラスチン線維)の劣化です。
しかし、毎日明るく元気に生活し、食生活に最低限の注意を払っていたら、表情筋の萎縮や皮下脂肪の極端な増減などは起こらないものです。
また、正しい毎日のスキンケアができていたら、弾力線維層の損傷も最小で済み、再構築のスピードが劣化をカバーするので、そこまで目立つことはありません。
ところが「ほうれい線が消える!」とか「○週間で、ほうれい線が見えなくなった!」などと言ったものを目にすると、つい心が惹かれてしまいます。その結果、間違ったケア・過ぎたケアに熱中する人も出てきます。
最近では若い方から“ほうれい線”についての相談が増え、10代の方も珍しくありません。
誤った方法で犠牲者が出ないうちに「テーマの一つに取りあげなければ」となった次第です。
ほうれい線対策の方向性
骨相と皮下脂肪の付き方で、ほうれい線が現れ易いタイプ(顔立ち)というのがあります。骨相を変えるのは現実的でありません。そこで、皮下脂肪の付き方をコントロールしようと考えます。
例えば、ヒアルロン酸を注入したり、マッサージなど様々な方法がありますが、成果が現れたように見えても、それは一時的な現象に過ぎません。
特に力をいれたり、長時間行ったり、顔の筋を傷めるような下手なマッサージには注意が必要です。顔相そのものが崩れてしまいます。
ここでは、ほうれい線対策で失敗をしないように、ケアの方向性を解説していきます。
- 1.真皮層の弾力線維層の復活を待つ
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弾力線維層のコラーゲン線維やエラスチン線維は、絶えず酸化によって劣化しています。
この酸化を大きく進めるのは、なんといっても紫外線の侵入です。紫外線の量に比例して壊されるわけですから、強い紫外線はもちろん、弱い紫外線でも、いつでも防止する習慣が身に付いているかどうかが復活の分かれ目です。
つまり弾力線維層が壊されることなく、よい状態のまま、作り替えられるのが、ほうれい線だけでなく、全てのしわ対策の基本です。
これが根本的な対策ですが、長期戦であることは踏まえてください。これら弾力線維一つひとつの作り替えは短いもので3年、大部分は4~5年かかります。
- 2.表皮角質層の水分保持量で見た目は大きく変化する
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ほうれい線が消えた!とか、ほとんど目立たなくなった!などと謳った化粧品があります。これは保湿効果で肌表層(角質層)が膨らみ、滑らかに魅せてくれることが、いかにもしわが消えたように見える現象です。
皮下脂肪層や弾力線維層が復活したのではなく、保湿の効果であり、肌表層の水分が失われると元の状態になります。
だからといって「なんだ……」と、嘆くものでもありません。よい保湿状態が保たれている時間を長くく持てたのだから、肌の育ちにも貢献しています。
ただ、中にはちょっとやり過ぎではないのかな?と思うものもあります。保湿のし過ぎは、汗の多い季節やべたつく肌には水分を溜めることになり、肌がふやけ、肌が育つのをを後退させかねないからです。
サッポーが薦める保湿パックを毎日行うことで十分な保湿の強化ができます。但し、上の過ぎた保湿ケア同様、汗の多い季節やべたつく肌には注意ということですね。
ほうれい線改善に取り組むときの注意
ここまでで、ほうれい線改善の方向性が何となく掴んでいただけたと思います。
以下、改善を進めていく上での注意事項を挙げておきます。
- 弾力線維層の復活が本物の改善なので、長期戦で取り組む覚悟が必要。一年単位でのわずかな改善に耐え、紫外線対策を初めとする適切なケアを続けられるかにかかっています。
- 強めの圧迫や引っ張りは弾力線維の劣化に繋がるため、そういった癖があれば、見直しましょう。
- 皮膚へのマッサージは指で軽く撫でる程度が基本です。強いマッサージは、後で後悔することになります。
- 保湿効果を求めるのはよいことですが、過大な期待からの保湿のし過ぎは、逆効果になるのでほどほどにしましょう。
- ファンデーションを2色は用意し、しわ部位には明るい色味を使用するのがお薦め。しわの部位は影が消えてほうれい線が目立ちません。
こんなところでしょうか。
ほうれい線が目立つことや老け顔に見えることに悩んでも、すぐによくなる改善策には、けっして近寄らないようにしましょう。
他人(ひと)は、ほうれい線でなく、あなたの表情を見ています。好感の持てる表情を心がけましょう。
- ほうれい線改善は長期戦と心得、簡単な方法には飛びつかない
- しわ改善には紫外線対策!いつも防止する習慣を
編集後記
ここ数年でしょうか。若い世代からのほうれい線の相談が増えています。表情じわなので、気にしても仕方がないところもあるのですが、彼女たちにとっては深刻なようで……どうか間違ったケアにだけは走らないで欲しいです。
ちなみにサッポースタッフは、よく笑う人が多いんです。ほうれい線なんて、なんのその!楽しくニコニコ~お仕事できる幸せな毎日です。
「サッポー美肌塾」第684号
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